マルチエアコンの『使い所』と『注意点』

都市部の住宅が密集した場所などでは、居住スペースを最大限確保する為に、

敷地面積ギリギリに住宅を建築する場合があります。

そのような場所では、エアコンの室外機を設置できるスペースが限られる事があります。

その場合に一つの選択肢になるのがマルチエアコンです。

 

マルチエアコンの特徴

 

マルチエアコンとは、室外機1台に対して複数の室内機を接続する事が可能なエアコンです。

上記のような住宅用マルチエアコンだけではなく

業務用・ビル用マルチエアコンとして、病院や商業施設、学校やホテルなどの大規模施設などにも一般的に利用されていて、

室外機設置場所の省スペース化には有効なエアコンと言えます。

家庭用マルチエアコンを使用すると、室外機の設置台数が減らせますので、限られたスペースを有効に使えます。

 

マルチエアコンを選ぶ際の注意点

 

家庭用マルチエアコンを選ぶことで、省スペース化できるメリットは大きいのですが、

マルチエアコン特有のデメリットも存在します。

上記にあるとおり、室外機1台に複数の部屋の室内機が接続されている為、

例えば、室外機が何らかの理由で故障してしまった場合は、それに接続されている全ての部屋で

エアコンが使えなくなってしまいます。

そして、全てのエアコンに言える事ですが、エアコンの能力(馬力)(○○畳程度)(〜kw)

は室外機に依存していますので、

マルチエアコンも1台の室外機の能力を複数の室内機で分け合うことになり、家庭用として使用する場合、

比較的高い能力を必要とする広い空間(リビング)などと合わせて複数空調するのは難しくなります。

これはメリットでもありデメリットでもあるのですが、

家庭用マルチエアコンのほとんどの機種は電源が室内機のコンセントではなく室外機だけに直結します。

室内側ではコンセントが必要ないので見た目は比較的スッキリします。

しかし、将来的に一般的な家庭用ルームエアコン(セパレート型)に変更したい場合は室内機側に電源増設工事が必要になります。

また、一般家庭では考えにくい使い方ですが、家庭用マルチエアコンの場合、

Aの部屋で冷房運転をして、Bの部屋では暖房運転といったことはできません。

 

実際にあった事例

 

少し特殊な事例ではありますが、

GHP(ガスヒートポンプ)という、室外機に小型のエンジンが搭載されている家庭用空調システムがあるのですが、

1台の室外機に対して、室内機が6台も接続されたマルチエアコンを何度か拝見した事があります。

その分譲地では、新築時からその空調システムが備わっていたようですが、

15年目にして、とうとう室外機が故障して、同時に6台全てのエアコンが使用できなくなってしまい、

オーナー様は修理もご検討されましたが、一般的な家庭用ルームエアコンへの変更をご決断されました。

新たな配管工事、電気工事、現状エアコンの撤去・処分など、

商品代、工事費とも高額になってしまいましたが、さらに今後のことを考えてのご決断でした。

 

マルチエアコンを選択すことのデメリットを多くご紹介しましたが、

マルチエアコンを使用する環境や条件などによっては、得られる恩恵がデメリットを上回る場合も多々あります。

新築時などには、十分選択肢に入る空調システムだと思いますので、

空調業者や、家を建てる工務店などとよく相談し、検討することが大切です。

 

最後までご覧頂きありがとうございます。

このブログが少しでもあなたの参考になり後悔しないエアコン選びをお手伝いできるなら幸せです。