エアコンの引越し(移設)について

引越しに伴ってエアコンを移動したいのですが、

『外してまた取り付けるのはエアコンにとってあまり良くない』と聞きますが、どうなんでしょう?

といったご質問をお客様からよく頂きます。

どうして現状は正常に使えているエアコンを取り外して、また取り付けるだけなのに良くないのでしょう。

 

エアコンの引越し・移設について

 

エアコンの取り外し

エアコンの室内機と室外機は配管によって接続されており、その中には冷媒が充填されています。

エアコンを取り外す際には、適切な作業によって、冷媒を室外機側にいったん全量を回収することで

安全に配管や室内機を取り外す事ができます。(ガス回収作業やポンプダウンなどと呼ばれます)

上記の『適切な作業』で『冷媒を全量』という点が重要で、

ガス回収作業を適切に行わなかった場合、冷媒ガスは全量室外機側に回収されずにルート内に残ります。

この状態で配管を外してしまうと残った冷媒ガスが大気解放されてしまいます。

当然、大気解放された分だけの冷媒は不足してしまい、そのまま移設設置したエアコンは効かなくことがあります。

冷媒をむやみに大気解放させることは違法ですし、現在使用されている冷媒は不足した分を追加で充填することは推奨されておらず、

冷媒を一旦全量回収して規定量を再充填する必要があるため、費用(業者にもよりますが、2〜3万円)がかかってしまいます。

こういったことを防ぐためには、きちんとした知識と技術を持って取り外す事が大切です。

ご自身でエアコンの取り外しをDIYでチャレンジされたい場合は こちら をご覧ください。

 

エアコン運搬時の振動

稀なことではあるのですが、ガス回収作業を確実に行なったエアコンであっても、

運搬している際の振動や衝撃によってガスが抜けてしまう事があります。

エアコンの室外機内部には、冷媒を通すための配管が複数の箇所で溶接によって取り付けられています。

この溶接箇所にエアコン運搬時の振動や衝撃によって亀裂などが発生し、ガスが漏れ出てしまう事があります。

ある程度の年数を使用してきたエアコンに多いように思いますが、まだ1年しか使用していないエアコンでもあり得ることです。

こういったことを完全に防ぐことは事実上不可能ですので、

エアコンの引越し(移設)に関しては、『保証できません』としている設置業者がほとんどです。

 

配管の再利用について

引越しの際にエアコンと一緒に配管も再利用される場合があります。

配管を新しくした場合、材料代などがかかってしまうため、古い配管を再利用したくなりますが、

私がエアコンの移設工事のご依頼を賜った際は、古い配管の再利用は基本的にはお断りしています。

その理由として、古い配管は新品の状態のものと比べて柔軟性が損なわれ硬くなってしまっています

そういった配管を再利用しようとすると、エアコンを外す際や、運搬時、取り付け時には何度も曲げ伸ばしする必要があり、

金属疲労で簡単に折れ曲がってしまうことがあるためです。

配管や電線、ドレンホースなどはエアコン移設のタイミングで新しいものへ取り替えることをお勧めします

配管用化粧カバーなどは、日差しなどの影響を受けて変形していないのであれば再利用は可能かと思われます。

 

エアコン移設工事の料金

量販店などによくあることですが、

新しくエアコンを購入するのではなく、『お手持ち』のエアコンに関する工事だけを依頼すると

工事代金が高額になる場合があります。

実際、エアコンの工事料金に関して、『商品購入の際の工事料金』『お手持ちエアコンの工事料金』

といった2パターンで料金設定されていることがあります。

新しくエアコンを購入する際は『基本工事代込み』と謳っている販売店は多いですが、

お手持ちエアコンの移設工事だけを依頼した場合、

『基本工事代』+『運搬費』+『取り外し代』+『追加工事代』となる事があります。

(運搬に関しては行なっていない販売店もあります)

お手持ちのエアコンの移設だけをしたい場合は、

エアコン販売店だけではなく、エアコン取り付けを専門にしている業者などと比較検討すると良いかもしれません。

 

引越しの際、エアコンを移設するか、古いエアコンを処分して新しく購入するか悩みどころではありますが、

私がお客様によくご提案させて頂くことで、現在どこも故障がなく正常に使用できていることが大前提ですが、

今お持ちのエアコンが約7年以上(あくまで目安です)お使いの場合。

エアコン移設にかかる工事代とリスク

『基本工事代』+『運搬費』+『取り外し代』+『追加工事代』+『上記のリスク』+『あと何年使えるか』

古いエアコンを処分し、新しく購入する場合

『商品代』+『お手持ちエアコンの取り外し代』+『リサイクル費』+『追加工事代』

を天秤にかけて検討してみてはいかがでしょうか。

 

最後までご覧頂きありがとうございます。

このブログが少しでもあなたの参考になり後悔しないエアコン選びをお手伝いできるなら幸せです。