(エアコンDIY)配管穴貫通を『安全』に行うために

恐らく、設置業者にとっても緊張する作業の一つであり、

自分ででエアコンを取り付けしようとする方にとっては、最も不安な作業と言えるかもしれない、

配管穴貫通についてご説明しようと思います。

配管穴を貫通させるということは、家に大きな穴を開けるということです。

壁裏には家を支えるための大切な構造物や電線、水道管などがありますので、

何も考えずにいきなり貫通させようとすると、そういった構造物を傷つけてしまう可能性があります。

何十万円もする壁裏を探れる探知機でもない限り、100%安全に貫通させることは難しいですが、

できるだけ安全に空ける方法をご紹介します。

 

(注意)ここでご紹介する事を実践する場合は、必ず自己責任で行ってください。

また、エアコン設置に伴う作業の中には電気工事士などの国家資格が必要なことも多々ありますので、

よくご確認の上行うようにして下さい。

エアコン設置にまつわる電気工事については こちら をご覧下さい。

 

ここでご紹介する、エアコン配管用貫通穴を空ける作業は、

一般的な木造住宅で、外壁はサイディングであることを想定しています。

 

配管穴を空ける際に必要な道具

 

電動ドリル

一昔前までは、回転式の物を『電動ドリル』と呼ばれていたようですが、現在販売されているドリルは、

回転するだけの物もありますが、『回転』と『振動』の2つのモードが搭載されているものが多いようです。

エアコンの配管穴貫通には主に『回転』を使用しますが、汎用性を考えると『回転・振動』の物をお勧めします。

先端工具(ドリルビットなど)を取り付けるための規格は、SDSの物がおすすめです。

今では、充電式でも用途に耐えるだけのパワーがあるドリルが販売されていて、使い勝手もとても素晴らしいのですが、

充電式はバッテリーがかなり高価な為、ドリルとセットで購入する場合は大きな出費となります。

しかし、既に充電ドライバーなどをお持ちで、そのバッテリーが充電式ドリルと共通使用可能であれば、選択肢に入れてもいいかもしれません。

それに比べ100V電源式の物はパワーもあり、比較的安く購入できます。

電源コードが無く、取り回しに優れる充電式か、

比較的安価な100V電源式か、配管穴を空ける以外の用途や汎用性で選んでみてはいかがでしょうか。

 

コア

コアとは、筒状の形をしていて、丸い穴を空けるための刃物です。

シャンク・センターピン・コアのセットで売られていることもあります。

いろいろな材質に対応するために、それぞれに刃先の形状などが異なり、大きさ(直径)も様々です。

家庭用エアコンの配管穴を空ける際に、主に使用する大きさは、65π〜70π程度が一般的です。

一般的な木造住宅で、外壁がサイディングなどの場合に使用されるコアは『ウッディング』と呼ばれる物で、

主に木材に適した仕様ですが、私は、室内側の石膏ボードや外壁のサイディングなども、

素早く綺麗に空けることができるので、この『ウッディングコア』をよく使用します。

刃先を研ぎながら使用していますが、1本で200回くらいは使用していると思います。

この他にも、(乾式)(湿式)というコアがありますが、上記のような木造住宅に主に使用するのは(乾式)です。

(湿式)とは、コンクリートなどに穴を空ける際に、水を掛けながら空けるような作業などに使われ、

ドリルも専用の物が必要になります。

 

上記のドリルとコアがあれば貫通穴を空ける作業は可能です。

 

外壁面の壁の構造について

 

外壁に面している壁の構造を知っておくことで、穴を空ける作業の際に、思わぬ失敗を防ぐことができます。

一般的な『在来工法』の木造住宅の場合、室内側から、

(壁紙)(石膏ボードまたは合板)空間があって、(断熱材)(合板)(防水シート)(サイディング)

という構造になっている場合が多いです。

貫通穴を空ける際に最も注意しなければならないのが、上記の物以外を切らない(傷付けない)ことです。

壁の中には家の強度を保つための大切な構造物(柱・間柱・筋交・梁)や、場合によっては水道配管や電線などが通っています。

これらは主に(壁紙)→(石膏ボード)その裏の空間に存在します。

その他、その壁自体が建物の強度を保つための構造物となっている場合があります。

このような壁を(耐力壁)と呼びますが、耐力壁に貫通穴を空けると構造上の強度が低下してしまう場合があります。

もちろん全ての耐力壁に当てはまるわけではありませんが、

耐力壁であるかどうかの判断や穴を貫通してもよいのかは、建築士やお家を建てた工務店などの専門家と協議が必要になります。

 

実際の穴空け作業の手順

 

まずは、穴を空けたい位置のセンターに鉛筆で印をつけます。

次に、その印の周囲(コアの直径の範囲)を下地探しなどを使って針を押し込み、石膏ボード直下の構造物(柱・間柱)

などを探ります。

何もない事を確認したら、印に細い金属の棒(30cm程の長さで、曲がりにくく堅い物が好ましいです)をあてがい、

ゆっくり叩き込み、石膏ボードのみを貫通させます。

その棒を奥に当たるまでゆっくりと差し込み、上下左右に傾けて回しながら、壁の中の構造物などを探ります。

この時点で、筋交や電線・水道管など、ある程度は感触でわかるはずです。

何もないことが確認できたら、棒を差してできた小さな穴を中心にマスカー(養生テープにビニールシートがついた物)

などでホコリ対策の養生をします。

ドリルにコアをセットして、センターピン(コアの中心にあるブレ防止の芯)を穴にあてがいます。

ドリルのスイッチを入れ、勢いよく回転させたままゆっくりと押し込んでいきます。

まずは、石膏ボードのみが貫通された時点でコアを抜き、壁の中の断熱材などを手で押し除けて、

今度は目視で構造物の有無を再確認します。

問題ないことが確認できましたら、コアが断熱材を巻き込んでしまわないように十分押しのけて、

再度コアを挿入し、センターピンが奥の壁に当たったことを確認して、少しだけ回転させ、センターの

位置を割り出します。

コアを抜き、センターピンと同じ直径か、少しだけ大きい木材用のドリルビットを電動ドライバーなどにセットし、

奥の壁にセンターピンでつけた傷を目印にして外壁まで貫通させます。

再度コアを高速で回転させたままゆっくりと押し込み完全に貫通させます。

貫通させた穴の直径に合う、エアコン配管穴用スリーブ(筒)を壁の厚みの分だけ切って挿入します。

 

以上が一連の作業の流れですが、壁の材質や構造などにより、手順や使う工具などは様々です。

万が一、大切な構造物などを誤って傷付けてしまった場合は、元の状態に復旧できなくなる可能性もありますので、

この作業をDIYとして行うのであれば、必ず自己責任で行うようにしてください。

少しでも自信がない場合や、心配な場合は迷わず専門業者に相談、依頼しましょう。

 

最後までご覧頂きありがとうございます。

このブログが少しでもあなたの参考になり後悔しないエアコン選びをお手伝いできるなら幸せです。