真空引きとは、専用の真空ポンプを使用して冷媒ルートのエアを吸い出す作業です。
真空引きの主な目的は、冷媒ルート内を負圧にし、空気中に含まれる水分を蒸発させることで、
システム内に残った水分などを取り除いて、サビや故障などが発生するのを防ぐことです。
その他に、簡易的ではありますが、システム内で気密が保てているかの目安になります。
(注意)ここでご紹介する事を実践する場合は、必ず自己責任で行ってください。
また、エアコン設置に伴う作業の中には電気工事士などの国家資格が必要なことも多々ありますので、
よくご確認の上行うようにして下さい。
エアコン設置にまつわる電気工事については こちら をご覧下さい。
室内機と室外機に配管が確実に締め付けられている状態で、室外機の三方弁にあるサービスバルブの袋ナットを外します。
真空ゲージから出たチャージングホースの先端にチャージングバルブを取り付け、
低圧側(太い方)のサービスバルブ(虫ピンがついた小さなバルブ)に接続します。
順番は、真空ポンプ→真空ゲージ→室外機のサービスバルブです。
各接続箇所がしっかりとしまっていることを確認して、真空ポンプの電源を入れます。
真空ポンプの性能や配管の長さによって、ポンプを稼働させる時間は変わりますので、ここでは(何分)という記載はしませんが、
真空ゲージの目盛りが(−0,1mpa)を指していることを確認し、真空ポンプの電源を切り、しばらく放置します。
この間に他の作業(配管穴のパテ埋め・清掃など)を行うと効率がいいと思います。
しばらくしてからもう一度、真空ゲージの目盛りを読んで(−0,1mpa)から動いていないことを確認します。
万が一この時点で、真空ゲージの目盛りが正圧側(−0,08mpaなど)に戻っていた場合は、
配管接続部などの施工不良が考えられますので、もう一度接続箇所を確認する必要があります。
問題なければ、サービスバルブからチャージングホースを外します。
室外機の三方弁のバルブ(低圧側と高圧側の二箇所)を六角レンチを使って全開にし、ガスを循環させます。
外しておいた袋ナットを軽くレンチで締めて、カバーをします。
以上が一般的な真空引き作業の流れになります。
真空引き作業は、エアコンの性能を100%出し切って使用できるようにするためには欠かせない作業です。
真空ポンプを使用しないで、元から充填されているガスを利用してエアを押し出す、
エアパージという方法を紹介している方もおられるようですが、
このエアパージでは、そもそも本来の目的である水分を取り除くことはできませんし、
簡易的ではありますが、配管接続箇所などの不具合もわからず、一発勝負でガスを循環させることになり、
お勧めできません。
真空ゲージには主にアナログ式とデジタル式の二種類が使われていて、もちろんどちらも真空度を計測できるのですが、
個人的にはデジタル式をお勧めします。
デジタル式の大きな利点は、ある程度の正圧まで測定できることです。
万が一アナログ式の真空ゲージに誤って正圧がかかると一瞬で壊れてしまいます。
それに、真空度が0.01mpa単位で確認できる物もありますので、アナログ式に比べて正確に判断できます。
デメリットとしては、アナログ式よりも高価ですし、電池交換の必要もあります。
写真のポンプとゲージはかなりボロいですが、今も現役で使っている物です。
ポンプは恐らく12年以上は使用していて、ゲージは何度か付け替えてきましたので最新の物です。
家庭用エアコンを設置するには、大手メーカー製のツーステージの物を使えば安心かと思います。
従来からある100V電源式と、最近ではバッテリーで稼働する充電式があります。
昔は、業務用エアコンまで使用できる大きく重たい真空ポンプしかありませんでしたが、
今では、主に家庭用エアコンでの使用を想定した、コンパクトで、とても軽い真空ポンプがあります。
真空ポンプは比較的高価ですが、オイルを定期的に入れ替えてメンテナンスすることで長く使えます。
恐らく私の真空ポンプは3000台は使用していると思います。
最後までご覧頂きありがとうございます。
このブログが少しでもあなたの参考になり後悔しないエアコン選びをお手伝いできるなら幸せです。