新しいエアコンに交換したり、引っ越しなどの時エアコンを取り外す必要がありますが、
正しい外し方をしないと冷媒が抜けてしまい、
大気汚染の原因になったり、そのエアコンを再度使用することができなる可能性があります。
実際に、お客様ご自身で取り外したエアコンを新居に設置する依頼をお受けした事がありますが、
リスクをご説明のうえ、設置した後正常に運転できたエアコンは数えるほどしかありませんでした。
ここでは、基本的なエアコンの取り外し方を3つのポイントでご紹介します。
エアコンを引越し(移設)する際のポイントは こちら をご参照下さい。
(条件)取り外したエアコンは再利用し、配管やドレンホース、電線は廃棄する設定です。
まず知っておきたいことは、
エアコンは電源を切って停止中であっても、
室内機、室外機、それらを繋ぐ配管の中には冷媒ガスが張り巡らされています。
何もしないまま配管を切断したり、繋がれている接続部分のナットを外すと、
一気に冷媒が漏れ出し大変危険です(違法です)ので、
必ずガス回収(ポンプダウン)という工程が必要です。
強制冷房運転をかける
まずは、冷房運転で室外機の圧縮機(コンプレッサー)を稼働させる必要があります。
夏場は室温が高いので通常の冷房運転で良いのですが、
冬場は普通に冷房運転をしても室温が低いためサーモセンサーが働き、室外機は稼働しません。
そのため、最近のエアコンは必ずと言っていいほど『強制冷房運転』ができるようになっています。
強制冷房運転をするには、メーカーや機種によって操作方法は様々ですが、
室内機の右側下部や前面パネルを開けた右側などにある『応急運転ボタン』を長押ししたり、
数回押す事で強制冷房運転に切り替えることができます。
うまく強制冷房運転に切り替えることができたら、そのエアコンからきちんと冷風がでていることを確認します。
万が一強制冷房運転をしても何らかの異常があり室外機が運転しない場合は、
特殊な機械『冷媒回収機』がない限りそのエアコンは取り外すべきではありませんので、
冷媒回収を行なっている業者に依頼する必要があります。
室外機に冷媒を回収する
冷房運転によって正常に室外機が運転していることを確認したら、
室外機の配管接続部分にある三方弁の袋ナットをモンキーレンチなどを使って外します。
謝ってもまだ配管を接続しているナットを緩めてはいけません。
細い配管側と太い配管側の袋ナットを外すと、それぞれに六角レンチが刺さるバルブが確認できますので、
適合した大きさの六角レンチを使い、『細い配管側』(写真では上側)のバルブを時計方向に回し、完全に閉めます。
この時点で、室内機と配管内に巡っている冷媒は室外機へと回収され始めます。
配管の長さ(距離)にもよりますが、そのまま数分待ちます。
室外機の音をよく聴いていると、冷媒が全て室外機に回収されたら少し音が変化します。
今度は太い配管側の六角のバルブを時計方向に回し、完全に閉めます。
すぐに室内機を操作して運転を停止して、送風口のフラップなどが完全に閉まり切ったら必ずコンセントを抜きます。
これでやっと配管や室内機を安全に取り外すことができます。
配管を外す
室外機の、外しておいた袋ナットをレンチを使って軽く締めます。
次に配管接続部分のナットを外すのですが、大抵の場合かなりきつく締まっています。
配管接続部のナットだけにレンチを掛けて外そうとすると、三方弁ごと曲がってしまいますので、
必ずレンチを二つ使用して、一つは先ほどしめた袋ナットにかけ(固定)、もう一つは配管のナット(回す)に掛けて
外す際にかかる力を相殺するイメージで配管のナットを外します。
配管が外れたら、配管接続部から異物が入らないようにビニールテープなどでしっかり塞ぎます。
(私たち設置業者は新品時の室外機のように、ナットに銅製のキャップを取り付け完全に密封する場合もあります)
次に、室内機の補助配管(室内機から出ている配管)と配管の接続部のテープや断熱材をカッターなどで裂いて露出させ、
上記の要領で、レンチを2本使って外します。(もしくは、接続部から室外機側に20cm程のところで切ります)
ドレンホースや電線は、今回の条件では配管ごと再利用しませんので、切ってしまいます。
配管穴周辺の充填材(パテやコーキング)などを取り除き、配管がスムーズに室内側に引き出せる向きに慎重に曲げます。
室内機下部のにかかっている引っ掛け部を外し、ゆっくりと室内機を外します。
以上がエアコンを取り外す際の基本的な作業の流れです。
正常に運転できるエアコンを取り外す作業自体はDIYで可能ですが、
上記で触れたように、強制冷房運転をしているのに室外機が稼働しないなどの場合は、
冷媒回収技術者の資格とともに回収機が必要ですので、
実際に取り外す作業にかかる前に正常に運転できているか確認が必要です。
冷媒ガスをむやみに大気解放することは違法ですので、注意が必要です。
少しでも不安な場合は躊躇せず専門業者へ依頼しましょう。
最後までご覧頂きありがとうございます。
このブログが少しでもあなたの参考になり後悔しないエアコン選びをお手伝いできるなら幸せです。